2008年10月05日

世界の長寿企業ベスト100

武井 一喜

大変ご無沙汰いたしました。
ファミリービジネス・コンサルタントの武井です。

ご無沙汰している間、FFI(Family Business Institute)の
ファミリービジネス・アドバイザー養成プログラムに参加し、
このほどようやく担当教官から、OKが出て、
FFI認定 ファミリービジネス・アドバイザーとなりました。
日本人では私が第1号です。

先月、米国のFamily Business Magazineという雑誌で、
世界の長寿企業ランキング100が発表されました。

日本からリストに載ったのは、
法師旅館(創業718年、1位)、
虎屋(創業1600年以前、29位)、
遠州茶道宗家(創業1602年、27位)、
竹中工務店(創業1610年、29位)、
キッコーマン(創業1630年、33位)、
住友グループ(創業1630年、33位)、
月桂冠(創業1637年、37位)、
岡谷鋼機(創業1669年、48位)、
山本山(創業1690年、59位)
でした。

日本には他にもたくさん300年以上の歴史の優秀な会社があると思いますが、
まだまだ欧米の研究者には日本の状況が充分に紹介されていないようです。

記事のほとんどは、前回のリストで第1位だった金剛組がファミリービジネス
ではなくなったこと、変わって前回2位の法師旅館が1位になったことに
費やされました。

ちなみに、ベスト10は、
1.法師旅館(創業718年、旅館)
2.Chaterau de Goulaine (創業1000年、フランス、ワイン醸造)
2.Pontificia Fonderia Marinelli(創業1000年、イタリア、鐘製造)
4.Barone Ricasoli(創業1141年、イタリア、ワイン、オリーブオイル製造)
5.Barovier & Toso(創業1295年、イタリア、ガラス製品)
6.Hotel Pilgrim Haus (創業1304年、ドイツ、ホテル)
7.Richard de Bas (創業1326年、フランス、紙製品)
8.Torrini Firenze (創業1369年、イタリア、金製品)
9.Marchesi Antinori Sri (創業1385年、イタリア、ワイン醸造)
10.Camuffo (創業1438年、イタリア、造船)

日本でも酒造りの会社に長寿企業が多いですが、
ヨーロッパでも同じのようですね。

投稿者 : 武井 一喜| 19:23 | トラックバック

2007年10月09日

ファミリービジネスの原点

武井 一喜

徳島の上勝町にある、おばあちゃん達が木の葉を育て、
料亭などで食事に添えるために出荷する会社、
株式会社いろどり の横石社長のお話を聞きました。

おばあちゃん達は個人事業主。
はつらつと働きながら、子供にマンションを買ってあげたり、
孫の結婚祝いに新車をプレゼントしたりと、
70歳、80歳になっても生き生きと働くおばあちゃん達の姿に
感激しました。

印象的だったのは、都会に出ていた子供や孫達が、
一緒に働きたいと、田舎に戻ってくる家が多い、とのこと。

でも、中にはそうでない人もいる。

何が違うかというと、

 仕事に対する夢や思いを家族に語っているかどうか。

夢を語っている人には、家族が戻ってくる。
語らない人には戻ってこない。

家族が戻り、一緒に働いている姿を見ていると、
横石社長はとてもうらやましく思う、とのこと。

こんな風にして夢が次の世代へと引き継がれてゆく。
ファミリービジネスの原点はここにあるように思いました。

投稿者 : 武井 一喜| 02:48 | トラックバック

2007年09月25日

引退の難しさ~武井一喜

武井 一喜

私が携わるほとんどの経営者にとって、自分の引退、特に創業社長にとっての引退は、
考えたくない問題であるようです。

私自信も、また、現役時代の後継者の仲間も、父親と計画的に引退、承継という事業をすすめた人はまれでした。

残念ながら、高齢になっても引退を考えず、体力、判断力が衰えて老害を撒き散らす方が多いのです。
これは、「承継の恐れ」という心理が働くためです。

会議などで話が長く、昔話をしつこくする、ちょっとしたことで感情的になるなど、
老害の兆候が出たら要注意です。
こうなると社員の士気は確実に衰えます。

社長に引退を勧めるような人が周りにいないときは、なおさら大変です。

このような事態になる前に、ファミリービジネスコンサルタントがお薦めするのは、

ということです。

ある社長は、「息子は細かいことでも逐一俺に相談に来る。
俺がいなかったらどうなるのだ?」といいます。

息子さんにに聞いて見ると、「社長に根回ししておかないと、
あとで2時間は小言を聞くことになる。最近社長は話が長く、くどい。」
とのこと。

以前の同業者の社長で、3年後に息子に交代すると宣言し、
交代後はきっぱりと会社に来なくなった方がありました。
周囲からは立派な人だと評判になりました。

やはり、事業承継は偉大な社長と言われるための最後のテストなのです。

投稿者 : 武井 一喜| 22:56

2007年01月05日

バトンタッチ~武井一喜

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

以前相談があった会社の事例です。
創業社長が息子さんに社長を渡したのが、91歳のとき。
息子さんは65歳。
社長を退いた理由は、「体力が弱まり、手形にハンコが押せなくなった」から。
そのとき息子さんはすでに引退を考え、老後の準備を整えていたとのこと。
遅すぎる承継の悲劇です。

ファミリービジネスにとって、最大の課題は事業の承継です。
経営者にとって、事業の承継は、「偉大な経営者」と言われるための、最後のテストです。

事業承継は、リレー競技のバトンタッチにたとえることができます。
先の走者が全力で走り、体力が限界に来る一歩手前で、フルスピードでバトンを渡し、新しい走者がまた全力で走ります。こうしてバトンは最高の速度で進むことができるのです。

全力で走りながら滞りなくバトンを渡すためには、渡す側と受け取る側が息を合わせ、互いに信頼しあうことが必要です。いかに優秀な走者でも、練習なしにいきなり本番でバトンを渡すことはできません。何度も練習をつみ、お互いのタイミングを合わせる訓練が必要です。

もし前の走者がバトンにこだわり、いつまでも握り続けていれば、次の走者はバトンを取りそこなうことになります。また、何の前触れもなくバトンを渡しても、またとりそこなうことになるでしょう。

事業承継には、リレー走者のように、本番前にバトンを渡す練習をすることがとても重要です。つまり、少しずつ権限を委譲する、ということです。

実際に行われている事業承継を大きく分類すると、次のような5つのパターンになります。

1.晴天の霹靂型
何の前触れもなく承継が行われる形。社長の事故や死去、入院などが原因のことが多い。後継者は何の準備もできていない。承継は確実に起き、通常は承継期間中におきる葛藤や迷いはないものの、準備不足のためビジネスに与える悪影響は大きい。

2.遅れ遅れ型
社長は後継者を指名し、少しだけ権限委譲するが、それ以上は先に進まず、長期間そのままになる。後継者は中途半端な立場のためフラストレーションが高じ、最悪の場合、辞職にいたる。会社に残ったにしても、リーダーシップよりフォロアーシップを学ぶことになる。また、現社長の体制が長引くため大胆な戦略変更ができず、ビジネスにも悪影響。

3.行ったり来たり型
社長は後継者にすべてを譲るが、ある時期に会社に舞い戻り、実権を取り戻す。人によってはこれを何回も繰り返す。後継者はこれによって経験をつむことになるが、あまり繰り返すと、後継者や幹部経営者のフラストレーションが高じ、会社を離れていく。


4.漸進型
5年から10年のスパンで計画的に権限を委譲し、最後には完全に新社長に委譲されている。後継者は徐々に経験をつみ、現社長も承継後の人生設計のための時間が持てる。しかし、この期間に両者や周りの人たちの間に葛藤や迷いが起きやすい。両者間のコミュニケーション能力を高め、話し合いながら問題を解決できる関係作りが重要。

5.親族外のCEO型
一族に後継者がいない場合、親族外の経営者が事業を継承する。ファミリーメンバーではできなかった改革も可能になる。次の世代のファミリーリーダーを育てるのが新社長の重要な仕事になる。

あなたの会社はどのパターンでしょう?

(株式会社 タカハシ&パートナーズ パートナーコンサルタント 武井一喜)

投稿者 : | 17:28 | トラックバック

2006年11月28日

ゲイ、レズビアン、トランスセクシャル、バイセクシャルとファミリービジネス

FFI(Family Firm Institute)は、今年で設立20年。
20年の間には、時代を反映して会議のトピックも移り変わっていきます。

最近まで盛んだった議論は、女性経営者に関する問題です。

欧米においても、従来は直系の長男が事業を相続することが一般的だったようですが、
最近はその価値観が変化してきています。

その背景には、女性の社会進出が盛んになり、法体系も整備され、
一般企業においては男女の雇用機会の均等が当たり前になってきたことがあります。

このことで、事業の承継においても変化が現れてきたのです。

一部の保守的な地域やファミリーではまだ違和感があるようですが、
ファミリーの女性主人はほぼ当たり前のことになってきているようです。

日本においても、戦前は5人以上の兄弟がいることは珍しいことではありませんでしたが、
今では二人以下ということ。

皇室で課題になっているのと同じように、ファミリービジネスにおいても
女性の事業承継は今後普通のことになっていくだろうと思います。


さらに、今年のFFIの会議で新しくテーマになっていたのは、
GLBT(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスセクシュアル)
の問題です。

GLBTを抱えたファミリーに対して、
財務的、法律的、心理学的、経営的な観点からどのように扱うか、
ということが真剣に議論されています。

GLBT本人の問題、ファミリーや職場でのまわりの人たちとの関係、
カミングアウトにかかわる問題など、
多岐にわたってコンサルタントとしての見方、戦略が話し合われています。

日本ではまだこんな問題はありえないとお思いでしょうが、
どうやら夜の歓楽街だけの話ではなくなりつつあるようです。
企業で働きながら、性の問題に悩む人たちが増えていると聞きます。

(Copyright 武井 一喜)

投稿者 : | 12:04

2006年11月17日

ファミリービジネスの学会報告 その2

ファミリービジネスの学会の話です。

Family Firm Institute(FFI)は今年で20周年ということ。
ファミリービジネス研究も本格的に始まったのが1980年代と、
ビジネス関連の他の分野に比べてまだ若い分野です。

そういうこともあってか、ファミリービジネスの
コンサルティングにかかわる人は、それぞれ専門のバックグラウンドを
持っています。

弁護士、税理士、ファイナンシャルプランナー、
銀行家、経営戦略家、組織開発の専門家、
カウンセラー、セラピストなど。

会議の場で自己紹介しあうときも、
「あなたの専門は?」
と聞くのがお決まりの挨拶になっています。

このことがまさにファミリービジネスコンサルティングの
本質を物語っています。

弁護士の立場から見えるファミリービジネスは
誰がオーナーシップ(所有権)や支配権を持つか、
そのオーナーシップをどう承継させるか、
というもの。

税理士や銀行家、ファイナンシャルプランナーが見る
ファミリービジネスは、会社やオーナー一族の
効率的な財産管理や運営はどうあるべきか、
とういもの。

企業戦略家や組織開発家は、ファミリービジネスの
ビジネス面の成果をいかに高めるか?
というもの。

そして、カウンセラー、セラピストは、
ファミリービジネスにまつわる人間関係を
いかに望ましいものにするか、
というもの。

専門分野によって、まったく違うものに見えるほど、
ファミリービジネスは複雑な生き物です。

この複雑なファミリービジネスを、
「企業」、「ファミリー」、「オーナーシップ」の
3つのサブシステムがからみ合っている、
ひとつのシステムとしてとらえるのが、
ファミリービジネスコンサルティングの
根底に流れるものの見方あり、
この3つの側面を、総合的にとらえがらアドバイスを行うのが
ファミリービジネスコンサルタントの基本的なスタンスです。

様々な専門分野の境界を越えて、もっとも適切なアドバイスを
考えようとする、学際的なアプローチでもあるのです。

このような背景から、この学会には様々なジャンルの専門家が
集まっている訳です。

投稿者 : | 01:24 | トラックバック

2006年11月03日

ファミリービジネス学会報告 その1

最初の投稿から、ずいぶんご無沙汰してしまいいました。
欧米で研究がすすんでいる、ファミリービジネス(同族経営)
コンサルティングの勉強をしていました。

先週は、サンフランシスコで開かれた、
Family Firm Institute(FFI)という、
ファミリービジネス研究者と、
ファミリービジネス専門コンサルタントの学会に出ていました。

世界各国から500人ほどの参加がありましたが、
日本からの参加は私1人。
ちょっと寂しい気もしましたが、
「東京から来ました武井です!」と自己紹介すると、
必ず言われることが、
「日本には世界一古いファミリー企業があるんですよね!!」

そうなんです。
世界で一番古い会社は「金剛組」という、日本の宮大工の会社です。

 http://www.kongogumi.co.jp/home.htm

創業は西暦578年、聖徳太子の時代です。
金剛家は40代続いたファミリーです。
3年ほど前に、米国のファミリービジネスマガジンで紹介されたものですが、
残念なことに、昨年、同業者に事業を売却するという結果になってしまいました。
全世界的な損失と言わざるを得ません。

原因は、バブル期の不動産投資の失敗との事。
1400年の歴史をバブルにさらわれてしまうのは、何とももったいないことです。

ファミリービジネスが強いのは、ファミリーの持つビジョンや価値観が、
長い時間にわたり、世代から世代へ受け継がれ、醸成されていくことにあります。
このことを深く理解していれば、金剛組もこんなことにならずに済んだのでは、
と悔やまれるのです。

サンフランシスコで会ったコンサルタントたちにこの話をすると、
皆一様に、本当に悲しそうな顔をして、「なんと残念なこと…」と言います。

こんな悲劇を繰り返さないためにも、
ファミリービジネスコンサルティングを日本でも定着させたいと、
決意を新たにする私であります。

学会の様子は、追々ご紹介してまいります。

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2006年05月02日

はじめまして。二世のコンサル、武井です。

はじめまして。
このたびブログに参加することになりました、
武井です。

二世経営者、継承者のコンサル、コーチング、研修などを行っています。

日本の企業の大半は同族企業です。家族で世代から世代へ継承される、
企業の形態です。キッコーマンや虎屋など、日本には数百年の歴史を誇る
同族企業がたくさんあります。

世界を見ると、デンマークのLEGO、スエーデンのIKEA
(最近船橋に日本の1号店を出した家具屋さん)、リーバイスなど。
世界のトップ企業のリストであるフォーチュン500の内、30%は
同族企業であるといわれています。

これらの大企業から、夫婦だけで営む企業まで、
大小さまざまな形がありますが、
単に企業経営だけの問題でなく、
同族企業には家族、親子、世代、財産管理など、
一般の経営論では語られない、たくさんの課題があるものです。

そんな同族企業ですが、長い間、ビジネススクールなどで
まともに研究されることはありませんでした。

ところが、今世紀に入る頃から米国のビジネススクールを中心に、
同族企業を研究する学者が増えてきました。
その長寿の秘密や企業文化など、経営学はもとより、
社会学、心理学など、さまざまな切り口から研究が進んでいます。

私自身、3代続く繊維問屋の家に生まれ、4代目として育てられました。
父の会社に入ってみると、歴史の重みと業界でのポジションは大きいものの、
経営上の問題、親族の問題など、課題は山積みでした。

父から私へと、事業を受け継ぐ中で体験した様々な出来事、
成功したこと、失敗したこと、そこからの学びなど、
また、その後のコンサルやコーチングでの学び、
米国の学者たちの研究の成果など、
このブログでお伝えしていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

二世のコンサル 武井一喜

PS.
先週、私の初めて本が出ました。
「NLPでリーダー脳力をグングン高める法」
出版社:ヴォイス
です。

こちらもよろしくお願いします。

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