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2006年06月28日
『劇的ゴ~ル!』

電車の中で口を全開にして熟睡している人をよく見かける。
私はあれだけは、どうしても出来ない。
いや、熟睡が不安だというのではなく、赤の他人に寝顔を見られる事に強烈な抵抗がある。
だから私は電車内で眠る時は必ず‘顔は下向き’だ。
たまに首がメッチャ痛くなる。辛い。
先日の終電間近、50代と思しき疲れたサラリーマン管理職風のオッサンがネクタイをだらしなく緩め(ネクタイは取るなら取るでクールビズにする!締めるなら締めるでキチッと結ぶ!どっちかにせぃ!)、イスからずり落ちそうな体勢で眠りこけていた。もちろん顔は上に向けて口は全開だ。
近寄っただけで強烈な悪臭が襲ってきそうな真っ茶色の歯を覗かせて軽~くイビキをかいている。
そのオッサンのすぐ横に立って、デカイ声で喋っている女子大生風のちょっと派手系のお姉ちゃん二人。
うち一人は飴をしゃぶりながら話に夢中。
よっぽど、こないだ遊んだ男の話がオモロイのだろう、だんだんオーバーアクションが加わり、声もボリュームアップし、手を叩いてハシャイで、まるでイナバウワーのようにノケ反って笑い転げている。
いよいよと二人の話がピークに差し掛かった瞬間、ヒャァ~~ハッハッハッ!と笑った口から、なんと飴がシュポンッ!と飛び出した!
そして、あろう事か、その飴が・・・・。
そう!そうなのだ!
全開中の熟睡オッサンの口に見事ゴールしたのだッ!
私は信じられない光景を見た。
W杯では、ほとんど見られなかったニッポンゴールがこんな所で見られるなんて!
こんなもん、ロナウジーニョでもカカでもロナウドでも決められへんでぇ~~という凄い命中率だ。こんなもん、ロト6に当たるよりレアな確率やでぇ~~~。
あり得ない確率で全開のオッサンの口に吸い込まれていった。
ついさっきまで可愛いお姉ちゃんの口の中にいた甘~く美味しそ~な飴が、どんな生活したらここまで口が臭なるねん、と不思議なほど汚いオッサンの口に居場所を変えた。
飴そのものの分子構成が化学変化を起こしたようだ。まるで違う物質に変化したようだ。
いや、それだけではない。
不意打ちを食らったオッサンは、飴をそのまま飲み込んだのだ!
何が起こったのか理解できないオッサンは突然目を覚まし、自らの喉あたりの妙な感覚に驚きを隠せず、鳩が豆鉄砲をくらった顔というのはあんな顔を指すのだとの典型的なお手本を見せてくれた。
女子大生が「すいませ~~ん・・・、私の飴が・・・。」と謝った。
すると、自分の身に起こったサプライズを理解したオッサンは、えもいわれぬ幸せな表情を酔っぱらった赤いほっぺに浮かべて再び眠りについた。
こんな事があるねんなぁ。
電車の中はヒューマンウォッチングの宝庫だ。
イライラしている人を見て自らの心の中の殺伐感を反省し、友人と楽しくお喋りしている人を見て自らの友人への思いやりを実感し、酔っぱらっている人を見て自らのアルコールへの依存度を見つめ直す。
有り難う御座居ます、感謝。電車内は危険がいっぱいと学ばせてくれた口全開オッサンの無防備な姿。
有り難う御座居ます、感謝。物凄い希少な確率で起こる現実に遭遇できた終電車内。
有り難う御座居ます、感謝。可愛いお姉ちゃんの飴を飲み込んだオッサンが一瞬羨ましく感じてしまった自分の正直な心。(ケバかったけど可愛かった・・・)
投稿者 : 浦上俊司| 2006年06月28日 12:49
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