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2009年09月11日

『共感と抑制』~☆浦上俊司

浦上俊司

痛ましい事件が熊本で起こった。
高校生の娘と援助交際していた38歳の男を、42歳のお父さんが刺殺した。

嫉妬心狂気に変わり、抑制が効かなくなり殺意へと昇華する。
自分が何年もかけて作ってきた大切な家庭を、見ず知らずの男に土足で踏みにじられ崩壊させられた怒りは、‘ブレーキの壊れたダンプカー’の如く前後の見境なしに暴走する。

私はこのお父さんの気持ちが痛いほど分かる。心底から共感する。
しかし直前に、理性という歯止めがなかったのだろうか。

シチュエーションは多少異なるが、私も自らの内側に狂気が生まれ、実行に移すべく具体的に考えた経験がある。どこで待ち伏せして、どんな奇襲攻撃をかけて、最後のトドメの刺し方までリアルにイメージした。
睡眠中は夢の中で、顔も見たことのない男を何度も何度も殺した。

高校時代に身に付けたストリートファイトのあらゆるバージョンを駆使して、一気に仕留めようと画策した。
恨みを晴らすにふさわしい最も残忍な方法を考えた。

向き合って、その男の顔を初めて見た瞬間、膝のお皿を直蹴りして転倒させる。
倒れた瞬間、何の躊躇もなく革靴のかかとを喉に向けて真っ直ぐ下に振り下ろし失神させる。
そして、男性器の象徴とされる鼻を標的にしようと思っていたので、鼻の穴にを2本突っ込んで、思いっきり引き上げ、鼻ごと引きちぎる。
ラストシーンは、コンクリートブロックをその男の顔面ズドンッと落として崩壊してやろうと思っていた。

もし実行に移した昨年12月があれば、私の2009年は正月から拘置所で暮らしていただろう。
しかし‘何か’が私を寸前のところで止めた。
今となっては、もうどないでもええ事なので、私の狂気を止めてくれた‘何か’に心から感謝している。

しかし熊本の事件は実際に実行してしまった。
38歳の男の命はもう戻らない。
42歳のお父さんは人生後半ずっとムショ暮らしになる。
家族ともお別れだ。

このお父さんの嫉妬心は大いに共感するが、ギリギリのところで抑制して欲しかった。
後10年もすれば、嫉妬に値しないほどの、しょーむない事に変わっていったのに・・。


有り難うございます、感謝。私を犯罪者にしないためにギリギリラインで登場した‘何か’の存在。
有り難うございます、感謝。そこまでこだわった事が今では何にも気にならなくなった時間薬の存在。
有り難うございます、感謝。誰しもに宿る狂気の存在と、誰しもに訪れる狂気発露の瞬間。

~☆浦上俊司

投稿者 : 浦上俊司| 2009年09月11日 09:18

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